歯科医師
スピード開業、雇用管理も妻の力が大きな支えに
開業年齢：39歳
標榜科目：歯科
開業形態：ビルテナント
開業前は口腔外科専門の治療を行っていました。大学病院は各専門分野が縦割りで分かれているため、当初から一人一人の患者さんを一貫して診ていきたいという思いが、開業の道へと自分を突き動かしました。
開業場所を決めてから、3カ月のスピード開業。開業場所については、コンサルタントから紹介された一番初めの物件で即決。普通であれば数件見てからなのかもしれませんが、駅からも近く一目見た瞬間に気に入ったこともあり、他のところは見ずに即決しました。いわゆる一目惚れですね。スピード開業だったため、コンサルタントに事務的な手続きもお任せできたことは、費用が150万円かかったとしても、個人で探す労力も省かれストレスも溜めずにできたので、私は利用して良かったと思っています。
10月にビルテナントの契約をし、オープンは翌年1月。開業前は医局長という立場だったため、12月いっぱいまでに前勤務先の仕事を引き継がなくてはいけなかった。事務的な煩雑な手続きについても、コンサルタントの指南があったため乗り越えられましたね。また、妻も歯科医師のため、積極的にサポートしてくれたことはとっても大きかったです。
医療機器は全て新品を購入しました。メンテナンスを行いながら長く使っていくのであれば、新品ほうが私は良いと思います。メーカーや機種、そして何より新品にこだわった理由は、使用途中に細かいトラブルで機器に不具合が起こったり、使用できなくなったりというストレスを診療中に抱えるのが嫌だったことが一番大きな理由です。それならば、その時間を診療に集中し、患者さんのことを考える時間に使ったほうが数段有意義だと思います。
現在、正職員、パート、アルバイト含め、計9名採用しています。その理由は、平日はお昼休みなしで午前10時から20時まで続けて診療しているためです。仕事をしている方が、昼休みに気軽に治療に来られるようにするためで、職員も交替しながら勤務するシフトをとっています。また、職員個々の勤務できる時間が様々でしたので、それを上手く組み合わせて採用したため、計9名の職員に支えられ現在診療しています。全員、女性ですが、妻が中心となって上手に職員の人間関係作りをしてくれているようなので、大変助かっています。
近隣歯科開業医の先生方には、開業前に事前に挨拶に行きました。これから長くこの場所で診療していくわけですから、お互いが気持ちよくお付き合いしていきたいと思ったからです。幸い、私の周りの先生方はとてもいい先生方ばかりだったので、気持のいい関係作りが今でも出来ています。
開業前に知っておけば良かったなと思う点は、開業に当たっての細かい法律や開業してからの手続きです。うっかり施設基準の申請を忘れて後日、診療請求できない処置がでてきたりしました。子どもを持つ親御さんたちにも気軽に来院してもらえるようにベビーカーで来ることなどを想定し、院内をバリアフリーの構造にしました。しかし診療を始めてからベビーカーでは曲がりにくい、人がいると通れないなどの不便さが露呈しました。開業前にキャスターやベビーカーのサイズを測定して動線を抑えておけば、設計段階から対応できたこともあったなと思いますね。
これから開業される先生は、思い切って迷わず自分の納得のいくクリニック作りをすべきだと思います。私の場合、開業年数がそれぞれ違う先輩5～6人に様々なアドバイスをもらいましたね。年配の先生から同時期に開業する友人まで幅広く聞くことで、その時点で抱える問題や開業年数によって考える価値観も異なる。その先生がどのように乗り越えてきたのかも見えてくるので、それは自己のスキルアップにも繋がります。
